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中性子ラジオグラフィの性質、原理、X線との比較
- 中性子の性質(中性子とX線の違い)
通常の放射線透過試験では、X線が用いられます。 X線は、物質の原子番号が大きいほど、その物質を透過しにくくなります。
金属の欠陥等の不具合を検査するには適していますが、金属中にある火薬、樹脂材など水素含有材料の検査に適していません。
それに対し、中性子は原子番号とは関係なく、水素など特定の元素には透過しにくくなり、金属には比較的透過しやすいです。
そのため、金属中の水素含有材料の検査に適しています。
[出典] P.von der Hdt, H.Rottger eds, Neutron Radiography Handbook (1981)
中性子ラジオグラフィとX線ラジオグラフィとの概念比較
金属に対して、X線では透過しにくいのですが、中性子は透過します。しかし、中性子は、水素などが含まれている材質にに対して透過しにくいです。そのため、金属の被覆、配管の中の火薬、水などを検査できます。
中性子ラジオグラフィとX線ラジオグラフィとの比較画像
下の写真は、携帯電話の中性子ラジオグラフィとX線ラジオグラフィの比較画像になります。右の図がX線ラジオグラフィ、左の図が中性子ラジオグラフィの画像になります。X線ラジオグラフィ画像では、電子基板の小さい金属部品が見えますが、携帯電話のケースなどの樹脂部分は見えていません。 それに対し、中性子ラジオグラフィ画像では金属部品は見えませんが、ケースなど樹脂部分の様子が観察できます。このように、中性子、X線ラジオグラフィでは、異なる材質の部品が確認でき、相補的な内部情報が得られます。