電子線利用サービス
照射改質(高分子材料・半導体の改質)
半導体ウエハへ電子を入射(照射)すると、物質内の結晶との弾性衝突が起こり(格子欠陥を形成)、デバイスの電気特性を改善することができます。
また、高分子材料に電子線を照射すると、化学的並びに物理的作用を引き起こし、種々の特性改善が可能です。
反応の制御性や量産性に長け、利用 温度が比較的低いことが特長であり、高分子内でのイオン化、励起、化学結合の解離によりラジカルが生成する反応を利用して、工業用製品の改質に活用されています。
主な利用方法
- 半導体の格子欠陥の生成キャリアのライフタイム制御
- 架橋処理(橋かけ)PE等の耐熱性(熱変形温度)・ 耐摩耗性・耐候性の向上など
- キュアリング・コーティング塗装面の硬化、プラスチック表面の 加工・硬化など
- 分解・低分子化高分子樹脂の微粒子生産や、多糖類を分解し植物の 吸収性向上による 生育期間の短縮など
- グラフト重合ポリマーへの親水性・疎水性・ イオン交換性等の付加など
架橋処理(橋かけ)
ポリマーに照射することで、材質(代表例:PE)によっては、架橋が起こり、耐熱性(熱変形温度)が向上したり、また、熱収縮性や発泡体への応用・耐摩耗性・耐候性などの改善を行うことができます。
一般的にポリエチレンは架橋助剤なしで架橋できます。
なお、架橋処理には架橋助剤を導入し照射により架橋させる方法もあります。
グラフト重合
ポリマーに照射することで、基材に異なるモノマーを接木のように重合させることでポリマーの性質を付加する方法です。
利用例として、親水性・疎水性・イオン交換性の付加となります。なお、前照射法と同時照射法があります。
半導体の格子欠陥の生成
シリコン等の半導体に電子線を照射することにより、格子欠陥を生成します。この格子欠陥層は半導体物質内での電子-正孔キャリアを再結合する機能を持つため、格子欠陥密度を最適化することでキャリアのライフタイム制御が可能となります。
キュアリング・コーティング
電子線照射による重合・硬化を利用したキュアリングは熱や紫外線による方法を比較すると、室温で行える事や塗装面の硬化を厚く(深く)できる事から、建築資材・家具など付加価値が必要な分野に応用されています。
その他、プラスチック表面加工・硬化 又、印刷技術への応用も期待されています。
分解・低分子化
照射により低分子化の手段として利用されます。
例として、多糖類を分解し、植物の吸収性向上による生育期間の短縮や保存効果に影響を与えることができます。また、高分子樹脂を照射により分解・低分子化することで、微粒子生産の一工程として利用されています。
着色反応
ガラス・宝石などへの照射による着色利用